じんましん

突然、境界明瞭な円形(楕円形)あるいは地図状のわずかに隆起した膨疹(蚊に刺されたような発疹)が全身に出現し、多くの場合激しいかゆみを伴う疾患です。数時間~24時間以内に出たり消えたりを繰り返す事が特徴です。全身どこにでも出現しますが、咽頭部に生じた場合は、時に呼吸困難をきたすこともあります。
 
Q. 蕁麻疹の種類はどんなものがありますか?
A.蕁麻疹はさまざまなタイプに分けられ、期間で分ける場合は4週間以内に症状が治まる急性蕁麻疹と、それ以上続く慢性蕁麻疹に分けられます。誘因で分ける場合は、皮膚あるいは粘膜に物質が接触して膨疹が出現する接触蕁麻疹(ラテックスアレルギーなど)、物理的刺激(擦過、寒冷、日光、温熱など)によって生じる物理性蕁麻疹、運動や入浴、緊張などで体温が上昇し、発汗を起こした時に数mm程度の小さな膨疹が出現するコリン性蕁麻疹、誘因のはっきりしない特発性蕁麻疹などに分けられます。また、特定の食物(小麦、エビ、カニ、イカ、カキ、セロリなど)を摂取した後、数時間以内に運動をした際に全身に蕁麻疹が出現し、時に呼吸困難や血圧低下なども起こる食物依存性運動誘発アナフィラキシーという病態もあります。
 
Q.原因は?
A.急性蕁麻疹の一部では、食事や薬剤、感染症の関与などを疑う場合がありますが、慢性蕁麻疹の多くは原因が特定できない場合が多いです。食事や細菌感染の関与などが疑われる場合が一般血液検査、IgE-RAST法などを行います。目の周り、口周りが腫れるのが特徴的な血管性浮腫の場合はC1-esterase inhibitor:C1-INHの値が有用です。特発性蕁麻疹の場合は下記の因子を念頭に診察し、病歴、理学所見などから検査を行います。採血で炎症を示唆するCRP陽性の場合や、溶連菌感染を疑うASO陽性の場合は扁桃腺炎、むし歯、副鼻腔炎が症状の悪化に関わっている可能性があり、これらの有無を検索します。ヘリコバクター・ピロリ感染症も蕁麻疹の病態に関与することも知られていることから胃腸症状の有無がある場合は注意します。魚介類摂取時の蕁麻疹は魚自体が悪さをするだけではなく、アニサキスが原因であることもあったり、摂取後6-12時間たってからおこる納豆による遅発性アナフィラキシーなどの報告もあり、詳細な問診も重要です。コリン性蕁麻疹では汗にアレルギー反応を認めることがあり、アセチルコリン皮内テスト、自己汗皮内テストが診断に有用です。

 
Q.治療は?
A.
原因・悪化因子の除去・回避と同時に行う適切な薬物療法が重要です。薬物療法の基本は抗ヒスタミン剤内服、症状が激しい場合はステロイド短期内服・点滴も併用します。また一般的な治療でコントロール不十分な難治性蕁麻疹に対しては降圧薬であるレセルピンが奏功する場合があり、副作用も少なく試みてよい治療と思われます。また病型によってはジアフェニルスルホン内服、抗ロイコトリエン薬、漢方薬が著効する場合もあります。治療が難渋することもしばしば経験しますがそのような場合、免疫抑制剤(シクロスポリン)内服が著効することもあります。C1-INH不全による血管性浮腫では予防的にトラネキサム酸、蛋白同化ホルモンを内服し、重篤な場合はC1-INH製剤を点滴します。時にアナフィラキシー反応と呼ばれる呼吸苦を伴う急激な反応を引き起こすことがあり、そのような患者様に対してはエピペン処方も行います。