イボ(尋常性疣贅)

「イボ」はヒトパピローマウイルス(Human papillomavirus、HPV)が皮膚粘膜に感染して生じる良性腫瘍です。臨床像は、尋常性疣贅、扁平疣贅、足底疣贅、および尖圭コンジローマなどに分類され、その存在部位と外観から診断は容易です。

治療法は?

一般的な液体窒素療法による冷凍凝固術で改善しない患者様に、痛みのない免疫賦活剤による治療、
モノクロロ酢酸塗布、手術、レーザー治療などがあります。

●液体窒素による凍結療法(以下、凍結療法)
イボ治療の第一選択です。ほぼすべての病院で行われている治療ですが痛みが強く、お子様が病院嫌いになる治療の一つです。基本的な治療ですが、2か月やっても効果が出ないときは他の治療への変更、併用が推奨されています。液体チッソは、沸点マイナス195.8℃、融点融点マイナス204℃の超低温液体で、自然気化するので保存には特殊な容器が必要です。魔法瓶と綿棒もしくは液体窒素スプレーをイボを軽く10数秒間圧抵し冷凍凝固させます。
凍結・融解の操作を3~4回繰り返します。かなり疹痛が生じます。人工的にヤケドを起こさせているので翌日、まれに操作部位に巨大水庖の形成がみられることがあります。足底、爪周囲以外の「イボ」の治癒率は高いです。多発している「イボ」は、そのうちの2~3個、大きな「イボ」は、その一部を凍結療法を行い、3~4週間後、残りの「イボ」の動きを観察します。

●ビタミンD3製剤外用 ODT
活性型ビタミンD3誘導体で、表皮角化細胞の増殖を抑制し表皮肥厚を改善する作用があります。足の裏など皮膚が分厚い場所ではただイボにつけるだけではあまり効果がうすく、イボにつけた後にラップで密封したりスピール膏をかぶせることで高い治療効果を発揮します。

●ヨクイニン内服(保険適応)
ヨクイニン内服:イネ科のハトムギの種子を乾燥させたものです、免疫調整効果を期待して内服します。単独で用いることは少なく、液体窒素凍結療法と併用したりします。お茶アレルギーがなければ副作用もありません。
●ビタミンA内服 外用
疣贅は表皮の角質の基底層に存在していることが多く表皮のターンオーバーを早めイボを排出させる治療法です。ビタミンAは内服にて催奇形成の報告があるため、妊娠年齢には使用できませんが効果のある治療の一つです。
●べセルナ軟膏
もともとは尖圭コンジローマの治療薬です。皮膚の薄い部位のイボに対しては効果を発揮します。
●炭酸ガスレーザー焼灼術(自費診療)

液体窒素療法で効果がないかたにはおすすめです。ただ、炭酸ガスレーザー治療は保険が効かなく、治療が高額になることがありますので注意が必要です。治癒率は液体窒素療法と比較して高いです。炭酸ガスレーザーは液体窒素凍結法より治癒までの期間が短いですが潰瘍化することもあり部位によっては注意が必要です。尖圭コンジローマ、尋常性疣贅と糸状疣贅に用います。

●SADBE療法による免疫賦活化(自費診療)
感作性の物質を塗布し、炎症を起こして免疫機構を高める方法です。円形脱毛症にも用いられます。痛みがなく、特に扁平疣贅に効果が高いです。凍結療法以上に治癒までの期間を要しますが、疾痛がない治療法です。

●モノクロロ酢酸塗布(自費診療)

酸を塗布していぼを腐食させる治療で、いぼのある部位に1~2週間に1回薬剤を塗布し、当日はガーゼやテープで覆って、翌日洗い流して頂く治療です。痛みはほとんどない事が多いですが、稀に痛みを訴える方がいらっしゃいます。健康保険が効かない薬剤であるため、自費診療となり、1回あたり1000~2000円程度の薬剤費+診察料がかかります。
●イボ剥ぎ法(保険診療)
いぼのある部位に局所麻酔をして、ハサミを使って、文字通りいぼを切り取ってしまう治療です。切除した後は浅い傷になるため、傷が塞がるまで、2週間ほどは、毎日軟膏塗布、ガーゼ処置を継続していただく必要があります。いぼの数や大きさが1回の治療で済む程度のいぼに良い適応となりますが、
いぼが多発している場合、大きさが余りに大きい場合は、生検後に自然消退することもあるため、一部のみ摘出することもあります。通常の液体窒素療法などで難治性の場合に行いますが、稀に再発する事があります。
●おまけ…暗示療法(自然治癒):どのような治療法にも抵抗性の症例に。
昔から特に扁平疣贅に効果があるといわれている治療です。非科学的と思いきや担当医師が変わっただけで急に治ったというのはよく経験することです。全国には「いぼとり地蔵」が現存しますが、実際に治療に難渋している患者様でいぼとり地蔵に行って治ったという患者様がいるのも事実です。HPVあるいはHPV感染ケラチノサイトに対する免疫反応によるものと考えられています。Q.どこかでうつったのでしょうか?
いつ、どこで感染したかは不明のことが多く、外傷の一定期間後に生じたり、陰部に発生した「イボ」は感染機会があることから、接触感染が考えられています。その潜伏期間は数ヵ月から半年、なかには、1年後に発生したものもあり、どこでうつったかを推測するのは容易ではありません。
【本ページは、ご厚意により渋谷駅前おおしま皮膚科さまの解説文を加筆して制作しました。】