掌蹠膿疱症

掌蹠膿疱症

症状)手掌、足底に白くぷつぷつとしたいわゆる『無菌性膿疱』が多発し

周期的に良くなったり、悪くなったりを繰り返します。

爪周囲の病変では爪の変形や肥厚も生じます。

四肢にも乾癬様の皮疹がみられることもあります。

一番の問題は「治らない」、「慢性です」といわれた患者がワラをもすがる

思いで医療機関を転々としていることですが、これはしっかりと病態を

把握し、原因がわかれば決して治らない疾患ではないと考えています。

 

鑑別疾患は下記に記載するように多くにわたり、それぞれ治療方針も異なるため適切な診断が必要です。

  • 足白癬、手白癬
  • 汗疱、異汗性湿疹
  • 接触皮膚炎(特に外用薬によるかぶれ)
  • 金属アレルギー
  • Id 反応、自家感作性皮膚炎
  • 好酸球性膿疱性皮膚症
  • 汎発性膿疱性細菌疹
  • 掌蹠角化症

喫煙者に好発し、ステロイド外用薬、ビタミンD3外用薬などの対症療法もある程度奏効しますが、これらのみでは皮疹軽快までに平均 5~7年を要します。

しかし、手足の膿疱と紅斑は、常に手を隠して生活する、痛くて歩けないなど患者にとって大きな

QOL障害を招いています。

また、10~30%で胸肋鎖骨間骨化症をはじめとする掌蹠膿疱症性骨関節炎を伴い、

激烈な痛みを伴う関節症状が出現することもあります。

以前より 扁桃摘出術、歯科治療により掌蹠膿疱症が速やかに軽快することが知られ、

掌蹠膿疱症は皮膚疾患でありながら、そのほとんどが扁桃腺炎やむし歯等歯科領域など

他科の病巣感染によるという、科の分類を超えた病態がみられます。

原因を見出し、適切に治療すれば、決して「治らない疾患」ではないと考えています。

(扁桃腺摘出後に血清中 IL-6、IL-8 が低下する、扁桃の常在菌であるα-streptococcusを刺激すると

TNFαの産生が有意に増加する等の分子生物学的にもある程度解明されてはいますが、

特定の自己抗体による疾患などとは異なり、病巣感染のすべてを分子生物学的に解明するのには

限界があります)

頻度は10%程度と少ないですが病巣感染以外に金属アレルギーによる掌蹠膿疱症も知られ、

臨床的には多数の小水疱を混じ痒みが強い例が多いです。

金属アレルギーが関与する異汗性湿疹や接触皮膚炎と金属アレルギーによる汗疱型掌蹠膿疱症は

区別が困難な例もあり、病理組織所見や経過で判断します。

金属が原因として疑われる場合はパッチテストを施行いたします。

 

治療方針

基本となるのは外用療法です。

掌蹠膿疱症患者のほとんどすべてが、掻破や鱗屑をはがす行為により皮疹の悪化を招いており、

治療の効果を十分引き出すには、適切な外用療法の実施が重要です。

 

■外用のポイント

1 掻破、膿疱をいじることを中止。

2 保湿の徹底。

3 外用薬を強くすり込まない。

4 症例ごとにステロイド外用とビタミン D3外用薬の有効性が異なり見極めが重要です。