その他のできもの
当院では、局所麻酔で治療可能なものなら、手術も行っておりますのでお気軽に御相談ください。転移をきたす可能性のある悪性腫瘍の手術、良性腫瘍でも全身麻酔が必要な手術等に関しましては、関連病院、もしくは、症例数の豊富な病院をご紹介させて頂きます。
気になるできものがある場合は放置せず、皮膚科専門医がいるクリニックに、早めに受診することが一番重要です。皮膚の腫瘍(できもの)を取り扱う上でのポイントは、悪性腫瘍を見逃さないということが最も重要だと考えます。
良性・悪性腫瘍の臨床的鑑別点
良性 悪性
大きさ 小さい(1-2cm以下) 大きい
形 対称性 非対称生
境界 明瞭 不明瞭
辺縁 平滑 不規則
潰瘍、壊死 ない ある
増殖速度 緩徐 急速
悪性腫瘍の予後は、最初の治療でかなり差がでるものです。
当クリニックでは皮膚科専門医が常勤でいることから多くの皮膚腫瘍は臨床のみで診断可能です。まずは当クリニックを受診していただき、皮膚科専門医を経由することで、皮膚の悪性腫瘍を見逃したり、不適当な治療を続けるなどの過ち避けていただければと思います。
皮膚の良性腫瘍には多くのものがありますので、代表的なものをいくつか説明することにします。
☆皮膚からもり上がってくるもの
- 脂漏性角化症(老人性疣贅)
頻度が高いため別ページに詳しく当院での見解、治療方針を記載させていただいております。
- 毛細血管拡張性肉芽腫 granuloma teleangiectaticum
皮膚からもり上がった赤い血まめのようなできものです。小さな血管と炎症細胞からできていますから、
よく出血します。幼児や妊婦などの顔、指、頭部などに出来やすく、少しの外傷から誘発されることが
あります。急に大きくなりますが、放って置いても数カ月から数年で自然になくなることもあります。
しかし、ちょっとこすれた位で出血することもあります。鑑別はエクリン汗孔腫
無色素性悪性黒色腫等があり、治りが悪い場合や典型症例でない場合は切除をお勧めします。
治療:手術、ステロイド外用、局所注射、レーザ治療
- ケロイド
傷あとは、しばらくは赤くもり上がりますが、数カ月でおさまってきます。
胸・肩のにきびの痕や怪我・虫刺されの痕・手術の痕が最初の傷より大きくなり
堅いしこりになったもので、かゆみのあることがあります。
遺伝性や体質にもよるといわれていますが、胸や肩の周囲等皮膚のテンションがかかりやすい部位は体質でないかたにもできます。だんだん大きくなり、痛みもでてくることがあるので慎重な対応が 必要になります。
治療:ステロイド外用・局所注射、シリコンゲルシート、トラニスト内服、皮弁による切除縫縮、放射線治療、圧迫療法
☆しこりのようにふれるもの
- 粉瘤
頻度が高いため別ページに詳しく当院での見解、治療方針を記載させていただいております。
- 脂肪腫
皮膚の下に脂肪の細胞が大きくなりかたまりをつくったものです。
ふつうは皮下脂肪の部分にできますが、筋肉の中や筋肉の下にできることもあります。
痛みがでることはふつうありませんが、血管成分に富むものなど痛みがでることもあります。
大きさも様々で、体のどこにでもできます。
治療:手術です。スクィージング テクニック(小切開線からの剥離し、絞り出す方法)を用いているため、脂肪種の大きさよりは小さい傷跡で摘出することができます。時に、筋層下に腫瘍が存在することもあり、まずは画像検査をする方が安全です。
- 石灰化上皮腫(calcifying epithelioma、毛母腫)
毛孔に由来する腫瘍で、種々な割合で石灰化しています。多くは、単発です。
周囲の組織を傷つけ内部に体液や血液が入り水疱を形成したり黒色に見えることがあります。
触ると石の様な硬さを感じるのが特徴です。顔、首、肩、上腕などに多く比較的子供に多い腫瘍です。
治療:比較的簡単な手術です。やや再発が多い腫瘍ですが、良性のできものです。
☆よくある皮膚疾患
- 軟性線維腫(skin tag)アクロコルドン
30才以降の成人に出来始めます。女性でやや肥満体の方にできやすいですが、痩せているかたにも
できます。
首と頚部や脇の下に多発する2mm~1cm位で肌色~淡褐色の扁平~懸垂性のブツブツが多発します。
皮膚の一部が変化したもので良性です。
治療:茎が細いものは医療様のハサミで切除します。
茎が太いものは炭酸ガスレーザーで焼灼します。
液体窒素で凍結する場合もありますが、術後暫く炎症後色素沈着が残ります。
- 皮膚線維腫(dermatofibroma)
大腿、腕、臀部によくできます。虫刺されや小さい傷から発生することがあります。
色素沈着を伴う硬いボタンのようなしこりの様なもので僅かに隆起する場合と陥凹する場合があります。
治療:手術が基本です。
- 粘液嚢腫(mucous cyst)
いろいろな部位にできる柔らかいドーム状の腫瘍です。
下唇に出来る場合は、ガマ腫とも言う唾液腺の流出部を外傷(誤って噛むことが多い)により生じることが多いです。手足の指にできる場合も外傷などで出来るとされています。
ドーム状の外観で10ミリ位までで、粘液を含み、殆どが手の爪の近くに出来る1cm以下のドーム状の腫瘍です。
治療:手術が可能な部位なら手術が優先ですが、穿刺した部位を液体窒素療法、
硝酸銀療法等併用することもあります。
- 眼瞼黄色腫(xanthoma palperum)
主に30才以上の成人に両上眼瞼の内側に片側又は、両側性にでき自覚症状がなく黄色の扁平な5ミリ位、
良性腫瘍です。血液のコレースロール値、中性脂肪の値は正常なことが多く関係ないとされています。
治療:プロブコール内服、手術、レーザー治療、液体窒素療法です。
- 汗管腫(syringoma) 稗粒腫(ひりゅう腫、milium)
頻度が高いため別ページに詳しく当院での見解、治療方針を記載させていただいております。
- 面皰(comedo)
角質物質(角層つまり垢)などが拡大した毛穴に詰まり毛穴が閉じている状態です。
汗管腫との区別が難しい場合があります。通常は皮膚色ですが、毛やゴミの為に黒色に見える時も
あります。尋常性ざ瘡(にきび)の初期に見られたり合併することがあります。
治療:圧出(皮膚に小さな穴を空けて圧迫して中身を押し出しますこと)で治すこともありますが、再発することもあります。再発予防に内部を炭酸ガスレーザーで焼灼すると効果的です。またできづらい肌質にするためにトレチノインやピーリング、ディフェリンゲル等使用すると効果的です。
Q 受診後できものはすぐに取ってもらえますか?
A 当院は手術は予約制とさせて頂いております。ある程度大きな腫瘍は診察後に予約をお取りいただき、改めて予約日に手術をさせていただいております。
Q 手術は痛いですか?
A 局所麻酔で行うため、手術中の痛みはありません。
局所麻酔を注入する際に少し痛みを伴います。当院では塗る麻酔を使用したり、クーリングしてから施行したり、細い針を用いて注入することにより、可能な限り痛みのない手術を心がけています。
Q 手術の後、どれくらいの頻度で通院しないといけませんか?
A 可能であれば翌日受診していただければと思います。翌日受診することにより、
傷を当院で密封させていただきその後の処置を必要ない状態にします。
受診が大変なかたは、5-8日後の抜糸まで通院の必要はありません。
Q 値段はいくらくらいですか?
A 保険適応で、部位、サイズによって値段がかわってきます。
手術の代金
★保険が3割負担の患者様
非露出部(簡単に言うと半袖、半ズボンで隠れる位置)
径3cm未満 3,840円
径3~6cm未満 9,690円
径6cm以上 12,480円
露出部(簡単に言うと半袖、半ズボンでも外にでる位置)
径2cm未満 4,980円
径2~4cm未満 11,010円
径4cm以上 13,080円
この料金以外に手術時に使用した局所麻酔代、軟膏代等で500~600円程度、
病理検査代金が3000円程度かかります。
★保険が1割負担の患者様
非露出部(簡単に言うと半袖、半ズボンで隠れる位置)
径3cm未満 1,280円
径3~6cm未満 3,230円
径6cm以上 4,160円
露出部(簡単に言うと半袖、半ズボンでも外にでる位置)
径2cm未満 1,660円
径2~4cm未満 3,670円
径4cm以上 4,360円
この料金以外に手術時に使用した局所麻酔代、軟膏代等で100~200円程度、
病理検査代金が1000円程度かかります。
Q 手術後、お酒は飲めますか?
A サイズが小さいもの、部位によっては当日からお酒が飲めます。
ただし1cm以上のものは当日は出血のリスクがあるため、飲酒は控えていただいております。
Q 手術後、お風呂に入れますか?
A 手術当日はお風呂は温度があがることから再出血のリスクがあがるため、入浴は控えていただきます。翌日以降はシャワーはかまいません。お風呂やプールは不潔と考えられているため、抜糸、傷が上皮化するまでは避けてください。
Q 手術後、運動は出来ますか?
A 手術当日は運動で温度があがることから再出血のリスクがあがるため控えていただきます。部位やサイズによって(足底、関節)は安静を必要としますが、それ以外なら術翌日以降は小さいものなら軽い運動はかまいません。
Q 再発することがありますか?
A 可能性はゼロではありません。
当院ではできる限り良性腫瘍の場合は傷痕の小さい手術を目標として手術をさせていただいております。
傷が小さければ本来再発のリスクは残念ながら上がると考えられますが、診察時に皮下のどの部位まで
腫瘍が浸潤しているか注意深い診察、また病理像をイメージしてから摘出するため、再発のリスクは上がっておりません。万が一再発した場合は早めの受診をお願いしております。
Q 手術の跡は残りますか?
A 傷跡が残らない手術は残念ながらありませんが、当院では最小の傷跡で腫瘍が\摘出ができる病院を
モットーに様々な治療を提案しております。
ケロイド体質のかた;早い段階でリザベン内服、シリコンジェルシート貼付等の指導を行なっております。
また傷跡にテンションがかからないように皮弁等も提案しております。
炎症後色素沈着を予防したい方;ビタミンC内服、トラネキサム酸内服等もしております。
また術後のテーピング固定を全員に指導しております。