手湿疹

手湿疹

Q.どんな病気ですか?
A.手湿疹は日常的に遭遇する頻度が高く、程度の差はあれ患者様も一度は経験された方が多いと思います。手掌、手背、手指の皮膚の乾燥、鱗屑(りんせつ:皮膚の粉)、肥厚や亀裂(ひび割れ)を生じる状態から、紅斑や小水疱などの湿疹病変を伴うものなど、臨床像や原因は様々で、しっかりと病態を見極めて検査、治療を行って行く事が肝心です。
 
Q.原因は?
A.発症機序に基づく分類として、刺激性接触皮膚炎(物理・化学的な刺激が手の皮膚を直接傷害して皮膚炎を生じる)、アレルギー性接触皮膚炎(化学物質などのアレルゲンに対する遅延型アレルギーによる接触皮膚炎)、アトピー型手湿疹(アトピー性皮膚炎患者は皮膚バリア機能が低下しており、刺激性接触皮膚炎をおこしやすい)、蛋白質接触皮膚炎(皮膚に触れた蛋白質抗原に対する即時型アレルギー)、混合型(上記の混合型)など、形態に基づく分類として、再発性水疱型手湿疹(異汗性手湿疹:手掌や手指側縁に両側性、対称性に小水疱が多発し、強いかゆみを伴う。夏期に増悪)、角化型手湿疹(境界明瞭な厚い鱗屑が手掌に見られ、時に亀裂を伴う。原因は不明な 事が多い)、進行性指掌角皮症(指先や指腹が乾燥して塑造になり、指紋が見られなくなる。キーボードを頻繁に扱う職種に従事する人や、水仕事が多い主婦、美容師などによく見られる)、貨幣状手湿疹(手背や指背に貨幣大までの類円形の湿疹病変が見られる)、乾燥・亀裂型手湿疹(手掌や手指全体の乾燥と亀裂が特徴。冬季に増悪する事が多い)などに分けられます。
 
Q.治療は?
A.以下の点に注意して治療を進めて行きます。
○お薬を正しく使いましょう
 皮膚にうるおいを与える保湿剤、また、かゆみや湿疹を抑える抗炎症剤、症状によっては ステロイドの外用やかゆみがひどい場合は抗アレルギー薬の飲み薬などがあります。
○刺激を避ける
 木綿(もめん)の手袋などを着用して、指先を直接刺激しないようにしましょう。
 また、水仕事の際には木綿の手袋の上からゴム手袋などを着用して、直接洗剤に触れないようにしましょう。 ゴム手袋直接も悪化の原因になることがあり、注意が必要です。
○手を大切に
 できるだけ食器洗いはまとめあらいなどの仕事を減らす工夫をし、できるだけ手に負担をかけないようにしましょう。
○手を洗いすぎない
 何度も手を洗うと症状が悪化してしまいます。手を洗ったあとには、必ず保湿剤でケアをしてください。
○症状が落ち着いても予防はしっかり
 症状が軽くなったからといって油断は大敵です。再発しないためにも、手に刺激となるものは避ける、手を洗いすぎない、手を洗ったあとには保湿剤をぬるなどふだんからの心がけが大切です。