虫刺され

Q.どんな病気ですか?
A.虫(蚊、ブヨ、アブ、ハチなど)に刺されたり、血を吸われたりして生じる皮膚炎の総称です。虫刺されによる刺激や、吸血の際に注入される昆虫由来物質に対するアレルギー反応などにより症状が起こります。ハチに複数回さされる事により生じるアナフィラキシーショックは一般の方にもよく知られていますし、最近毒性を持つヒアリが日本で発見されニュースとなりましたが、これらも刺された際に体内に注入される毒によって症状が引き起こされます。毛虫(ドクガ、チャドクガ、モンシロドクガ、イラガなど)の針(イラガの場合は棘)が皮膚に触れて生じる皮膚炎は毛虫皮膚炎、アオバアリガタハネカクシを払いのけようとしてつぶした際に体液が付着して生じる皮膚炎は線状 皮膚炎と呼びます。
 
Q.症状は?
A.一般的な症状は、痛みや痒みを伴う皮膚のブツブツや赤みが見られ、症状が強いと水疱を形成する事もあります。毛虫の毒針毛に触れた場合は、初期であれば粘着テープで毒針毛を除去し、洗浄してください。ミツバチに刺された後に毒嚢が突き刺さったまま残ることがあり、その場合は直ちに取り除いてください。そのままにしておくと毒嚢内の毒がさらに数秒の間注入されるといわれています。また、刺さった毒針を残しておくと感染の原因にもなります。刺し傷を水道水で洗い流し、氷で冷やすことによって痛みは和らぎます。
 
Q.治療は?
A.治療の基本はステロイド外用薬で、痒みや炎症がひどいときは痒み止めの内服やステロイドの内服をします。また、掻きむしって伝染性膿痂疹(とびひ)になると抗菌薬も追加する場合があります。またマダニに刺された場合などはライム病を発症する可能性があり、テトラサイクリンの投与を行います。マダニの虫が皮膚にくっついている場合は無理に除去すると口器が皮膚に残存して異物肉芽腫となるので虫体ごと皮膚を切除させていただきます。日常生活で注意する点としては、野外では肌を露出しないようにしましょう。虫よけスプレーも有効ですが、子どもへの使用には制限があります。虫よけスプレーの主成分であるディートは副作用の少ない薬剤ですが、カ月未満の乳児には使用しない、6カ月以上歳未満は1回、歳以上12 歳未満は1回の使用にとどめ、顔には使用しないなどの注意が必要です。ハチに刺された後に気分が悪くなったら、安静にして救急車を呼んでください。ハチに刺されてショック状態になったことのある人はアドレナリン自己注射キット(エピペン)の携帯をお勧めします。ハチアレルギーの有無は、採血でIgE抗体を調べることによってある程度わかります。